
テクニカル指標で最も有名で、トレーダーなら使用していると思われる移動平均線。
今回はその移動平均線を使った利益確定手法について、纏めて行きたいと思う。
トレードにおける利益確定手法などは人によって実にさまざまであり、一般的に言われる、「聖杯」であるとか「こうあるべき論」というものは存在しない。
利益確定で難しいのは、その時々に応じて、どんどん価格が変化し、同じような状況は2度お目にかかることは出来ない程、さまざまに変化する市場に対して、同じようなシチュエーションで利益確定出来ないから。だと個人的には思う。
そこで今回は、そういった、問題を少しでも解消すべく、移動平均線での利益確定方法について、自分なりの考え方を纏めてみた。
5日移動平均線によるポジショニングと利益確定基準
5日線投資法は基本的に、5日線を越えてきて、越えてきた高値を更新する動きが確認が取れた上で5日線のトレンドに合わせてポジションをとり、その後に利益を確定する、というシンプルでスマートな手法になる。
自分も5日線投資法として、投資法を作ってから、利益が取れる値幅が変わった事、トレードの精度が向上したという変化は確かにあった。
利益確定手法の考え方は人それぞれかと思うが、今回はその一つ、移動平均線を目安にした利益確定手法を纏めたいので、皆様の参考になればと思う。
- 下の画像は、2014年の上昇トレンドから2015年のチャイナショック付近までの、上昇トレンドにおける画像(Ctrl+Shift+クリックで画像拡大)
これは「大局観が上昇トレンド」という状況の為、価格が5日線を越え、その越えてきた高値を更新していくという、基本的なダウ理論を中心とした中での買いポイントを示している。
買いポイントは、赤い矢印で示してあるポイントとなる。
これはあくまでも「この付近で」という矢印のため、イメージさえしてもらえればわかりやすいかと思う。
また、「上昇トレンド」ということもあり、売りポジションは持たない事が前提になる。
では、どこで利益確定するのか?
- 利益確定ポイントは、画像で示した、青い矢印のポイントとなる。
- 利益確定ポイントも、5日線を明確に割って来る必要がある。
- 場中に5日線を割ってきたとしても、終値として確定するまでは、利益確定を急がない方が無難である。
理由としては、日足で「上昇トレンド」が続いている場合、発生したトレンドは明確なサインが出るまで終わらない、ということもあるため、トレンドが確定している状況の場合の、同じ方向へのポジションはよく伸びる為。である。
5日線投資法のメリット・デメリット
■メリット
- ポジション保有期間は5~10日前後、昼間働いているサラリーマンにはもってこいの手法になる。
- 頻繁にトレードする機会が無いため、デイトレードなどに比べて、取引手数料が安く抑えられる。
- デイトレードに比べると、一回で取れる値幅が大きい。
■デメリット
- 5日線投資法は、サインがでたら、5日平均線を使用しているため、利益確定のサインが出るまで、長い場合は5~10営業日までは持ち越す場合多々ある。そのため、比較的長い期間ポジションを持つ事にもなる為、心理的に影響する。
- ロスカット位置の設定は、サインが出た陽線(もしくは陰線)の安値付近で設定するため、ロスカットまでが遠い。
- 買い(売り)で入って利益確定するまでが5日~10前後、次のサインが出るまで同じ程の日にちを待たないとサインが出ないというデメリットもある。
しかし、パフォーマンスは総じて良いという結果にはなるかと思われる。後は自分の心理状態がどこまで持ちこたえるのか?
というところに集約されるかと思われるが、この手法であれば、ポジション保有期間は5~10日前後、昼間働いているサラリーマンにはもってこいの手法であるはずとわかる。
では、実際のポジションをどうやってとっていくのか?
5日線投資法については、上記の説明で分って頂けたかと思う。
大事なのは、
- 上昇トレンドのときは、5日線を越えてきたところで買い建て、その後、上昇してくる5日線と接近し、5日線を明確に割って来るところで利益確定をする。
- 下落トレンドのときは、5日線を割ってきたところで売り建て、その後、下落してくる5日線と接近し、5日線を明確に越えて来るところで利益確定をする。
というところになる。
いずれもトレンドに逆らったトレードをしてしまってはいけない。
では、2015年の12月から始まった下落トレンドを参考に、どうやってポジションをとっていくのかを考えてみる。
- 画像は日足になる。(Ctrl+Shift+クリックで別ウインドウ表示)
緑のラインは5日線。
画像を見て頂くとわかりやすいが、日足ダウ理論では、四角に囲った枠で揉み合い相場を経て、下方向にブレイク、「下落トレンド」が発生している状況になる。
下落トレンドがスタートしたポイントというのにも理由があるため、当サイトの「ダウ理論」シリーズを見て頂くとわかりやすいかと思う。
では、矢印が示している買いポイント、利益確定ポイントが、実際に1時間足でどのような動きになったのか確認してみよう。
- 次の画像は1時間足になる。(Ctrl+Shift+クリックで別ウインドウ表示)
実際の値動きを確認。青枠が新規売りポジションをとったところである。
ここのポイントでポジションをとった理由も明確でないといけない。理由はいくつかある。
- 大局観としては下落トレンド中の揉み合い。揉み合いを下方向にブレイクしていく地点が必要となる。
- 下値をサポートしているラインが数日前からあり、それが機能していたこと。このラインを突破したところがブレイク地点
- ブレイク地点は、1時間足一目均衡表の三役逆転と重なっている。
- ブレイク地点は1時間足一目均衡表の基準線を下げる事ができる位置になっている。
ここで、「三役逆転はもっと前から発生しているじゃないか」という声も聞こえてきそうだ。
三役好転/三役逆転での大事な所は、
- 上昇トレンドの時は「基準線を上げる」事ができるポイント
- 下落トレンドの時は「基準線を下げる」事ができるポイント
この2つか、「トレンド開始」に重要なポイントとなる。
三役好転/三役逆転を探そうと思えばいくらでもみつかる。しかしトレーダーにとって大切なのはそこではない。
「トレンドが発生するポイント」が客観的に確認出来る事が必要となる。
それを、トレーダー個人が自分に合ったトレードが出来るように修正し、工夫をしていく必要がある。
画像を見る限りでは「もっと下落していくじゃないか?」とか考えてしまいそうだが、そこもトレーダーの自分論で修正していってほしい。
これはあくまでも、私個人が基準としているトレード方法という事なので。
- もう一つの「新規売り建てポイント」も見てみよう(Ctrl+Shift+クリックで別ウインドウ表示)
緑のラインは5日線。
緑の枠で囲ってある部分は日銀黒田総裁がマイナス金利を発表した時の値動きである。
しかし、日足、4時間足ともに下落トレンドは継続していた状況。大局観が下落トレンドのため、上昇は当然長く続かず。
トレンド反転のサインでもある「ダブルトップ」を形成。
又、遅行スパン(26)は下値サポートラインをブレイク。当然基準線が下がって来るポイントになるため、下落トレンドの再発生となる。
その後の値動きも下落続きとなって、5日線にはまだ当たって来る気配すら感じられない。
これだけ下げれば、ここ2.3日だけの値動きで1000円幅以上も抜ける「可能性がある」。
あとはトレーダー個人の裁量次第にはなってくると思うが。精進して行きたい所である。
2016年下げっぱなしの状況ではあるが、しっかりとダウ理論+その他のテクニカル指標や、トレードの理論と併用する事で、勝率を高める可能性がある。
まとめ
こういった形で、一つの基準を持ち合わせて、それに合わせてルールを決め、同じようにトレードすることで、利益は同じようにはならないが、利益が伸びるときはとことん伸びる手法になるので、参考にしていただければと思う。
移動平均線で非常に勉強になるのが、あの「小次郎講師」が書いたこの一冊が非常に勉強になります。↓
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